東洋医学とは、もとは中国発祥の伝統医学であり、日本に伝わって鍼灸医学や漢方医学として発展した医学のことを指します。
東洋医学の根本的な考え方は、病気や不調になる前に身体を養生させて心身のバランスを整え、健康を維持するというものです。
ライフスタイルが多様化し、不調の原因も多様化している現代において、人それぞれの体質を見極めて対処するという、とても理にかなった考え方です。
また、日本人の体質やライフスタイルに合った東洋医学は病気の治療にとどまらず、美容やスポーツといった分野でも重宝されています。
日本人に適応した医学であり、治療法は、鍼灸、あん摩、漢方などを用います。
◆鍼灸
鍼や灸でツボを刺激し、
身体が本来持つ自然治癒力
を活性化させます。
◆按摩
手技によってツボや経絡を
刺激して体調を整えます。
◆漢方
自然に存在する植物・鉱物・
動物を薬にして身体の
バランスを整えます。
◆西洋医学の特徴
西洋医学では、
カラダの一部または病気を重視します。
例えば、頭が痛い、下痢をするなどの症状に
注目をします。
頭が痛ければ痛み止めを処方し、
お腹の調子が悪ければ下痢止めを処方する
といった方法です。
そのため、そのときに起こっている病気や
症状を抑えるのはとても早く、
結果も目に見えやすいのが特徴です。
問診や血液検査、レントゲン検査などで
得られたデータによって、医師の診断のもとに
病名を決め、エビデンスに基づき、
治療をおこないます。
基本的には、
検査結果が良くなれば治療は終了します。
◆西洋医学のデメリット
西洋医学は病名がなければ、
治療ができない場合があります。
そのため、自覚症状はあるけれど
検査では異常がないといった
「未病(病気ではないが調子が悪い状態)」の
治療は不得意です。
◆東洋医学の特徴
東洋医学では、
カラダ全体または自然治癒力を重視します。
例えば、不眠の場合、
なぜ眠れなくなったのか、顔の色・皮膚の艶、
動作などを目で見たり、声の大きさ・咳などの
音を耳で聞き、痛みや便の状態・過去の病歴
などの話を聞いたり、脈やお腹などに触れて
診察していきます。
同じ症状・病気であっても、
人間はその人の体質や状態によって、
治療内容は異なると考えています。
そのため、同じ病気や症状であっても、
同じ治療をするのではなく、
その人の体質や今起きている症状に合わせて
治療していきます。
例えば、不眠には、
ストレスでイライラして眠れないタイプや、
心身が疲れ貧血などが原因で眠れないタイプ
などさまざまなタイプがあります。
目の前の患者さんは、まずどのような体質
なのか、何が原因で眠れないのかを
調べるのが東洋医学の考えです。
◆東洋医学のデメリット
外科などの処置や救急など
一刻を争うような治療は苦手です。
効果の持続性はあるものの、
体質からの根本治療になるので
結果が出るのに長期間かかる場合があります。
一般的に鍼灸治療では、お薬で起きるような重大な副作用はありません。
しかし、筋肉がほぐれ血行が良くなったり、免疫反応が活発化し自然治癒力を上げる働きによって(好転反応)、起きる変化があります。
治療後に体が重く感じたり、自律神経が安定して眠くなったりという事があります。マッサージ後に感じる揉み返しと似た感覚です。
もみ返しなどが出やすいという方は治療の内容や、鍼を打っている時間などで出ないように調整していきます。
また、治療後かゆみが出る事があります。フレアー現象という鍼を打った周りの皮膚が赤くなる現象があり、血行がよくなっている事でかゆみが出る事があります。お風呂に入って体が温まった時にかゆくなるのと似ている現象です。
そして、施術後に吹き出物ができたり、ニキビができるようになったり、頻尿になったり、下痢を起こしてしまった場合は「排泄反応」が考えられます。これは、体内に溜まった毒素や老廃物を、身体の外に排出しようという好転反応です。
もう一つ、鍼治療で知っておいていただきたいのが、内出血を起こす事があるという事です。
皮膚の下には毛細血管が張り巡らされており、その血管に鍼が当たってしまった場合、内出血を起こす事があります。できるだけ血管には当てないように施術をしておりますが、100%防ぐことはできないのが事実です。
長く残ることはほとんどなく、1~2週間ほどで自然に消えていきます。
倦怠感、眠気、ほてり、易疲労感
WHO(世界保健機構)では、次に掲げる疾患に鍼灸治療が適応であることを認めています。
神経系 | 頭痛、歯痛、 神経痛(三叉、肋間、坐骨など)、 ヘルペス、顔面神経麻痺、しびれ |
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運動器系 | 肩こり、寝ちがい、筋肉痛、五十肩、 むち打ち症、頸肩腕症候群、 腰痛症、ギックリ腰、 椎間板ヘルニア、変形性膝関節症、 関節炎、リウマチ、捻挫、テニス肘、腱鞘炎 |
消化器系 | 便秘、下痢、胃炎、胃下垂症、 胃酸過多症、胃痙攣、 胃・十二指腸潰瘍、口内炎、 慢性肝炎、胆石症、慢性腸炎、痔疾 |
循環器系 | 高血圧症、低血圧症、心臓神経症、 動悸、浮腫、冷え性 |
内分泌系 | 糖尿病、甲状腺機能障害、痛風 |
呼吸器系 | 風邪、扁桃炎、咽頭炎、気管支炎、 喘息、咳 |
泌尿器系 | 慢性腎炎、膀胱炎、ネフローゼ、 前立腺肥大 |
感覚器系 | 眼精疲労、白内障、鼻炎、副鼻腔炎、耳鳴り、メニエール症候群、めまい |
婦人科系 | 生理痛、月経異常、乳腺症、 更年期障害、冷え、のぼせ、つわり |
小児科系 | 小児喘息、夜尿症、夜泣き、 かんの虫、消化不良、虚弱 |
その他 | 自律神経失調、不眠症、 ストレス性疾患、心身症、 アレルギー、アトピー性皮膚炎、 慢性疲労、成人病の予防など |